びゃくだん (白檀) 

学名  Santalum album
日本名  ビャクダン
科名(日本名)  ビャクダン科
  日本語別名  センダン(栴檀)
漢名  檀香(タンコウ,tánxiāng,だんこう)
科名(漢名)  檀香(タンコウ,tánxiāng,だんこう)
  漢語別名  栴檀(センタン,zhāntán,せんだん)、白檀(ハクタン,báitán,びゃくだん)
英名  (White) Sandalwood
2007/05/22 小石川植物園   (温室)

2010/08/21 富山県中央植物園  (温室)
 ビャクダン科 Santalaceae(檀香 tánxiāng 科)は、世界の熱帯・温帯を中心に約44属 約990-1000種がある。

  ツクバネ属 Buckleya(米面蓊屬)
東アジア・北米に約5種 
    B. graebneriana(秦嶺米面蓊・綫苞米面蓊・面瓮・面牛)
河南・陝甘産 
    ツクバネ B. lanceolata(B.henryi;米面蓊 mĭmiànwěng)
         
本州・四国・九州・山西・河南・陝甘・安徽・浙江・湖北・四川産 

  Champereia(臺灣山柚屬)
 1-2種 
    カナビキボク C. manillana(臺灣山柚・擬常山)
         
臺灣・フィリピン・ベトナム・マレーシア・インドネシア・ニューギニア産 

  Dendrotrophe(寄生藤屬)
東南アジア・ヒマラヤ・豪州北東部に約4-6種 
    D. varians(D.frutescens, Henslowia frutescens;寄生藤)
廣西・雲南産 
    D. polyneura(Henslowia polyneura;多脈寄生藤)
雲南産 

  ヒノキバヤドリギ属 Korthalsella(栗寄生屬)
旧世界に約25-30種 
    ヒノキバヤドリギ K. japonica(栗寄生)
         
本州・四国・九州・琉球・臺灣・福建・浙江・兩廣・湖北・四川・貴州・雲南・東南アジア産 

  Osyris(沙針屬)
四川・貴州・雲南・ヒマラヤ~地中海地方・アフリカに約2-5種 
    O. lanceolata(O.quadripartita, O.wightiana;沙針・香疙瘩)
         
廣西・四川・雲南・東南アジア・ヒマラヤ・アフリカに産 

  Phacellaria(重寄生屬)
中国・東南アジアに約6-8種 
    P. fargedii(重寄生)
湖北・四川・貴州・廣西産 

  Pyrularia(檀梨屬)
中国南部・ヒマラヤ・北米東部に約2-5種 
    P. edulis(檀梨・油葫蘆)
福建・湖北・兩廣・四川・貴州・雲南・ヒマラヤ産 

  ビャクダン属 Santalum(檀香屬)

  フサナリビャクダン属 Scleropyrum(硬核屬)
熱帯・亜熱帯アジアに約4種 
    S. pentandrum(S.wallichianum;硬核)
兩廣・雲南・東南アジア・インド・ジャワ産 

  カナビキソウ属 Thesium(百蕊草屬)
ユーラシア・アフリカを中心に約240-300種 
    カナビキソウ T. chinense(百蕊草)
『全國中草藥匯編 上』pp.329 『(修訂) 中葯志』IV/338-341
         北海道・本州・四国・九州・琉球・朝鮮・臺灣・漢土全域・モンゴル・ウスリー・シベリア産  
    T. himalense(喜馬拉雅百蕊草・西域百蕊草・綠珊瑚・九仙草)
四川・雲南・ネパール産 
    T. longifolium(長葉百蕊草・綠珊瑚・九仙草)
雲南江蘇以北・蒙古・東シベリア産 
    カマヤリソウ T. refractum(急折百蕊草・綠珊瑚)
         
北海道・朝鮮・遼寧・吉林・黑龍江・華北・西北・四川・貴州・雲南・シベリア・中央アジア産 

  ヤドリギ属 Viscum(槲寄生屬) 旧世界に約100-130種 
     
 ビャクダン属 Santalum(檀香 tánxiāng 屬)には、アジア・太平洋諸島の熱帯・亜熱帯に10-20種がある。

  ビャクダン S. alba(檀香;E.Sandal wood)『中国本草図録』Ⅲ/1080
  ムニンビャクダン S. boninense
小笠原産 絶滅危惧IB類(EN,環境省RedList2020) 
   
 サンスクリット名をチャンダナ candana といい、属名 Santalum、英名 Sandal wood はこれに基づく。
 漢土ではこれを栴檀那(センタンナ,zhāntánnà)と音写した。栴檀(センタン,zhāntán)はその省略形、壇香は派生語、簡略して檀とも言った。いずれにせよ、漢土における檀の字の本義とは関係ない。 
 漢語の檀(タン,tán)は、マメ科の喬木類、シタン Dalbergia cochinchinensis(交趾黃檀・紫檀)、D.hupeana(黃檀)などを指した。材が堅いので、以て車器・家具・楽器などを作った。
 唐代には白檀の語が見られ、紫檀とともに書画の軸木として用いられていた。下って李時珍も「檀に黃白二種有り」と言い、薬用にもした。
 なお、今日の漢語で白檀(ハクタン,báitán)と呼ばれるものは ハイノキ科のクロミノサワフタギ Symplocos tanakana(白檀)など。 
 

 日本では、奈良時代から白檀と呼ばれてきた。
 なお、江戸時代以来 栴檀
(せんだん)と呼ぶ植物は、センダン科のセンダン Melia azedarach、漢名を楝(レン,liàn)、日本で古名をオウチ(あふち)と呼ぶもの。
 ビャクダン S. album は、インドネシアの小スンダ列島 Lesser sunda Islands 原産といい、その英名も Sandalwood Island(現地名は Sumba)という島がある。
 インドなど熱帯アジア各地で栽培。
 心材は淡黄色で芳香があり、白檀材として著名。彫刻や各種細工物に用い、また薬用にする。『中薬志Ⅲ』pp.551-553 『(修訂) 中葯志』V/733-736
 幹・根を水蒸気蒸留して白檀油(サンダル油, Sandalwood oil)を採り、高級香水の原料とする。
 「栴檀は双葉より芳し」とは、センダンは 生えたばかりの双葉の頃から芳しい香りを放つ、の意。
 なお、センダンは 成木の材には香気があるが、花や葉には香りは無い。
 インドの古典には、さまざまなチャンダナが現れるが、その実体は必ずしも明らかではない。
 薬用としてのほか、沈香とともに代表的な香料として知られ、女性はしばしば乳房
(や四肢)に塗った(今日でも同様という)
 牛頭山(ごずせん)に生える牛頭栴檀(ごずせんだん)とは、ゴーシールシャ・チャンダナ gosirsa-candana の訳。

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